相続税申告の必要書類をスムーズに集めるには

税理士の都合でリストを作ってしまう失敗

相続税の申告にはたくさんの資料が必要で、いろんなところからいろんな書類を集めなければならない。
税理士としては必要書類をリスト化しておくのは当然として、そのリストの作り方に工夫が必要だ、ということ。

税理士目線でリストを作ると、財産別のリストを作りがち。

たとえば

土地 →名寄帳、農家台帳(市役所)、公図、測量図(法務局)・・・
預貯金 →残高証明書(銀行、農協)、過去の通帳(ご自宅)・・・
身分関係 →戸籍、住民票、印鑑証明(市役所)・・・
生命保険など →保険金の通知書(〇〇生命、△△生命)、建更解約返戻金の確認(農協)・・・

すると財産別に必要な書類はわかるのだが、どこに行って何と何を取得すればいいのか・・・ということが一目でわからない表になってしまう。複雑すぎてすぐに把握できないのである。

依頼者目線になるということ

依頼者から見れば「何の財産にどの書類が必要」とかどうでもいい。効率よくさっさと必要書類を揃えて税理士に投げてしまいたい、と言うのが本音であろう。

普段から書類に接することに慣れている人ならいいのだが、そうでない人だと書類がなかなか集まらない。察するに、一覧表を見ただけでもう嫌気がさしている方もおられるのだろう。
相続の場合、法人の申告とはその辺りの感覚が違ってくる。 

不足があったり年度が違ったり、すっぽりぬけていたり・・・
後から追加でもらえるのかな、と思って待っていたらご本人はもう渡したつもり、いや必要書類だという認識もなかった、なんていうこともある。 

原因は、”混乱しているから”に他ならない。なぜならリストがわかりにくいからだ。
実際に書類を集めようとするとき、いちいち財産別になんて考えないものである。

ここへ行ってあれとあれ、次はあそこへ行ってあれとあれ、というように、場所別で考えるのが最も自然で効率的なのである。
であるならリストもそのように作るべきなのだ。 

これは実際の私の失敗談でもある。

買い物リストをどう作るか?

たとえばスーパーに買い物に行くとき、どのような買い物リストを作るだろうか?
生姜焼きを作るなら、豚ロース、キャベツ、しょうが、しょうゆ、みりん・・・
翌日はカレーを作るなら、豚コマ、カレー粉、ジャガイモ、にんじん、タマネギ
これらをまとめて買い物するとする。

これが次のような買い物リストならどうだろう?
豚ロース
キャベツ
しょうが
みりん
しょうゆ
豚コマ
カレー粉
ジャガイモ
にんじん
タマネギ
・・・
順番に買おうとすると、これでは肉売り場と野菜売り場、調味料売り場を右往左往しなければならない。
うっかり買い忘れしそうだ。

やはりこれは次のようにあるべきだろう。
肉売り場
・豚ロース
・豚コマ
野菜売り場
・キャベツ
・しょうが
・ジャガイモ
・にんじん
・タマネギ
調味料
・みりん
・しょうゆ
・カレー粉

これならば混乱なく、無駄なく、スムーズに買い物を済ませられるというもの。

財産別ではなく請求先別(場所別)にまとめよう

以上を踏まえると、たとえば次のようなリストになる(注:リストはあくまで一例であり一部である。リスト中のものすべてが必要とは限らないし、税理士が代理取得できるものもある)。

キャプチャ

これならばどこに行って何を取得すべきかがスッキリわかる。順番に回ってもらえばいい。
どの財産のために何がいるか、ということは依頼者は考えなくてもよく、それは税理士側が考えればよいのだ。 

まとめ

結論としては
リストは請求先別(場所別)で作って渡そう!
ということである。

いやそんなことわかっとるわい。
ワシのとこでは当然そうやっとるわ!

と曰う諸兄諸姉にはご勘弁願いたい。
これから相続業務を始める税理士の方々(またはご自分で申告される納税者の方)はぜひ参考にしていただければと思う次第である。