パート・アルバイトの人が引かれる税金
パートやアルバイトの人が受け取る給料は、普通の正社員と同じで所得税では「給与所得」となります。
正社員、パート、アルバイトという名称に関わりなく、全く同じように給与所得として所得税がかかります。
毎月の給料から天引き(源泉徴収)される所得税の額は、給料の額によってすべて決められており、「源泉徴収税額表」という一覧表にまとめられています。
源泉徴収税額表は国税局のホームページで見ることができます(平成30年から扶養親族等の数の算定方法が変更となりましたが、税額表に変わりはありません)。
具体的にいくら引かれているのか
ではその一覧表に基づいて、一体いくらの税金が引かれているのかを見てみましょう。
平成30年分の税額表の1ページ目です。
何が書かれているかというと、このようになっています。
もし1カ月分のバイト代・パート代が5〜6万円ぐらいだったとします。表に当てはめてみると
給料が8万8千円未満であれば、扶養が何人であろうと引かれる税金はゼロとなっています。
ここで、甲らんと乙らんがあることに注意して下さい。
甲らんは税金ゼロですが、乙らんには何やら書いています。
乙らんの場合は、(給料ー社保)の額に3.063%の税金が天引きされるよ、と書いてあります。この乙らんの税額は甲らんより高めに設定されているのです。
甲らんの低めの税額で済む人は、勤務先に「扶養控除等申告書」を出した人に限られます。
バイト等の採用が決まったら、その会社からこの書類を書いて提出するように(大抵は)求められるはずです。
この書類を出していない人は乙らんの高めの税金が徴収されることになっています。ただし、あとで年末調整や確定申告により、正しい税額に調整されます。
基本的にこの申告書は同時に2カ所には出すことはできず、主たる勤務先1カ所に提出することになっています。
よってバイトを掛け持ちしている人は、2カ所目からは基本的には乙らんで引かれることとなります(現実的には複数出している場合もあるのでしょうが)。
では次に、バイトの給料が月15万円だった場合を見てみましょう。
表によれば給料の額が14万9千円以上、15万1千円未満の場合、扶養がひとりなら2,980円、ふたりなら1,360円が徴収されることになっています。乙らんなら8,700円と、かなり高めになっています。
最終的に税金はいくら?
所得税は1月から12月までの1年間で区切って計算します。
パートやアルバイトの給料も1年間分すべてを合計して1年分の税金を計算し直します。
給与所得の概算経費として「給与所得控除額」というものを差し引くことができます。
国税庁HPより
給与所得控除は最低でも650,000円を差し引くことができます。
↑このページの最下部で数字を入れれば試算できるようになっています。
給与所得控除を差し引いた後の金額がその年分の「給与所得」となります。
さらに所得控除を差引き、税率をかけて所得税を求めます。
所得控除は全部で14種類あります。
No.1100 所得控除のあらまし|所得税|国税庁
最低でも基礎控除の380,000円は控除できます。また、雑損控除、医療費控除、寄付金控除は年末調整では受けることができませんから確定申告が必要です。
所得税の税率はこのようになっています。
年末までバイト先に在籍していれば年末調整してもらえますから、会社から還付の可能性があります。
しかし途中でやめていたり、かけもちしていたりした場合は確定申告しないと最終的な税額が確定しません。
その年勤務した先すべてから、源泉徴収票をもらって下さい。今はこういう様式になっています。
最低限ここだけ見て、所得控除を差し引けば税金が計算できます。まず入手した源泉徴収票のすべてを合計して下さい。
① 給料の額ー給与所得控除の額=給与所得控除後の金額
② ①ー所得控除(最低380,000円)
③ ②の金額から税率表により税額を求める
④ ③ー天引きされた税額
これがマイナスになれば天引きされすぎですから、確定申告すれば所得税の還付が受けられます。もちろんプラスなら天引きが少なかったということですから申告して納税する必要があります。