路線価図の見方は難しくない!記号の意味も詳しく解説(一般向け)

路線価図の見方を解説

相続税や贈与税の申告をするときに使用する路線価図の見方について解説します。

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 相続税や贈与税は財産の価格に課税されます。

財産の価格は「時価」によることと定められています。

土地の時価は一般的に、「路線価」もしくは「倍率」によって計算します。

MEMO

時価の計算をすることを「評価する」といいます

路線価地域か倍率地域か

都市部とのどかな田舎

路線価と倍率のどちらで計算するかは、地域ごとにすべて決められています。

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目安としては、
都市部 ≒ 市街化区域 ≒ 路線価方式

のどかな田舎 ≒ 市街化調整区域 ≒ 倍率方式

と捉えることができます(もちろん例外はあります)。

市街化調整区域の「調整」というのは「抑制」という意味で、開発を抑制して田んぼや野山を残しましょうという意図があります。

こちらに詳しく書いています

土地の相続税評価・倍率地域でも煩雑な場合がある

また、倍率表の見方についてはこちらをご覧下さい。

倍率表の見方は難しくない!

路線価図に表示あり(倍率表も表示あり)

目的の土地が路線価か倍率か、すぐわからなくても大丈夫です。路線価図、倍率表双方ともに親切に書いてくれています。

キャプチャ6
路線価図の中では「ここは倍率地域だから倍率表を見てね」と表示してくれています。
キャプチャ101
反対に、倍率表の中では「ここは路線価だから路線価図を見てね」と表示してくれています。

WEBページでの探し方

WEB上ですべての路線価図を見ることができます。

キャプチャ
まず国税庁のトップページから下の方の「路線価図」を選びます。
キャプチャ1
路線価は毎年改訂されます。
まず①で調べたい年分を選び、 
②で都道府県を選びます。 
キャプチャ2
「路線価図」を選びます。
キャプチャ3
市町を選びます。
キャプチャ4
さらに細かい町名が出ます。ピンポイントで選べればいいのですが、まずはだいたいのところをいったん選びます。
キャプチャ6
するといよいよ路線価図が表示されます。
左の「接続図」で上下左右のページに移動すれば任意のページへたどりつけます。

 

キャプチャ4
ちなみに地図を見ながら選ぶこともできます。
町名を選ぶページの上の方にある「この市町村の索引ページへ」を選びます。
キャプチャ5
すると地図が表示されますので任意のページを選びます。

 

キャプチャ6
路線価図の見方はこのページでも解説されています。一応目を通しておいてもよいかと思います。

 

路線価図の見方

まずは道路の数字

キャプチャ106大阪住宅街
まずは道路に付された数字だけを見ます。数字の横のアルファベット(この図ではD)はいったん無視しましょう。
丸で囲んだ道路は170です。
単位は1,000円で、1㎡あたりの価額です。
170であれば1㎡ あたり17万円ということになります。 

約60坪の土地なら、60坪≒約200㎡として
170,000×200=34,000,000円(3千4百万円)と計算されます。 
(各種補正は省略します )

マルや四角の意味

キャプチャ9
つぎに、数字を囲んでいるマルや四角などの印について説明します。
この図では、正円か、何も囲みがないか、の二種類の記載があります、
これは「その地域が、おもにどういった用途で使われているか」を示しています。 
キャプチャ105
路線価図の上に地区の区分が記載されています。

キャプチャ7

このように、ビル街地区、高度商業地区などに分類されています。

何のために地区を分けている?

地区を分ける理由のひとつは「地区によって利用に最適な間口距離や奥行き距離などが異なる」ことがあげられます。

土地の評価に当たっては、土地の形によっていろいろな補正をすることになっています。

キャプチャ14

これは土地の奥行きによる補正率を定めた表です。

キャプチャ14
たとえば普通住宅地域なら、奥行きが10m以上24m未満であれば補正率は1.0。つまり補正なしです。
これは「住宅の敷地は奥行き10m〜24mが標準的で使い勝手がよい」という意味です。
奥行きがそれより長かったり短かったりするということは、住宅としては使いにくいということになり、それをふまえて少し割引してくれることになっています。
キャプチャ14
たとえばビル街地区では標準的な奥行き距離が44m以上92m未満となっています。

このように、用途によって使い勝手のよい形状が異なるなどの理由で地区区分が設けられています。
路線価図にはアルファベットを付すことで 地区区分が一目でわかるようになっています。

キャプチャ
この奥行価格補正率表をはじめ、他の補正率の表などは国税庁のウェブサイトで見ることができます。

まずトップページの「税について調べる」から 

キャプチャ11

「法令解釈通達」を選びます。

キャプチャ12
「財産評価」を選びます。
キャプチャ13
少し下にスクロールして「奥行価格補正」をえらべば表が表示されます。

地区区分の見方

キャプチャ7

キャプチャ9
では実際に地区区分を見ていきましょう。

キャプチャ7

それぞれ、正円は「普通商業・併用住宅地区」、マークなしは「普通住宅地区」とわかります。

 

キャプチャ9
黒塗りの部分・・・道路沿いのみに適用、
色がないところ・・・道路を中心として全域に適用
キャプチャ9

ピンク色で囲んだ部分・・・なにもマークがありませんから「全域」が普通住宅地区です。

緑色で囲んだ△の部分・・・マークが正円で、かつ色無しなっていますから全域が普通商業・併用住宅地区です。

緑色の極太の線の部分・・・マークが正円で、かつ黒塗りですから道路沿いのみが普通商業・併用住宅地区です。

キャプチャ10
このように半分黒で半分斜線の場合はどうでしょうか。
キャプチャ10
上のピンク色で囲んだ部分・・・なにもマークがありませんから「全域」が普通住宅地区です。

緑色の極太の線の部分・・・マークが正円で、かつ黒塗りですから道路沿いのみが普通商業・併用住宅地区です。

下のピンクで囲んだ部分・・・正円の下側の斜線は「適用なし」を意味します。この区域を囲んでいるほかの道路にはマークがありません。よって全域に普通住宅地区が適用されます。

借地権について

数字の横のアルファベットの意味

キャプチャ9
数字の横に振ってあるアルファベットは「借地権割合」を示しています。

 

キャプチャ105
これも路線価図の上に表が記載されています。
キャプチャ8
A〜Gの区分に90%〜30%の借地権割合が割り当てられています。

借地権とは何?

地主がいったん土地を貸すと、当然自分では自由に使えなくなります。
この「自由に使えなくなる」部分は、「借りた方が得た権利」であると考えます。 

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土地を貸し借りするときに権利金などのやりとりがなくても、一定の割合を財産として評価することになっています。
その一定の割合が先ほどの表です。
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借地権割合は、土地のニーズの高いところほど高くなっています。
借地権割合Aの地域なら借地権は90%、
逆に地主の方は底地分の10%が財産の評価額となります。
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借地権割合Gなら30%、
地主側の価値は70%です。

 

キャプチャ新宿103
こちらは新宿歌舞伎町。借地権割合はほぼA、90%です。
キャプチャ104
こちらは我が地元、三重県松阪市の松阪駅前。ほとんどEです。借地権割合50%。
違いが明確です。

簡単に計算してみよう

実際に路線価図を用いて土地の評価額を簡単に計算してみましょう。
手順は以下の通りです。

路線価を確認

路線価図により、千円単位の路線価を確認する。

路線価×地積でとりあえずの更地価格が計算される。

地区を確認

「普通住宅地区」などの地区を確認し、各種補正率を計算する。

大まかに試算するだけなら補正は省いてもOKです。

アルファベットを確認

借地権を認めるような土地であれば借地権割合を控除する。


細かい補正やセットバックなど、ほかにも考慮すべきことはありますが、大まかな数字はここまでで出すことができます。