路線価図の見方を解説
相続税や贈与税の申告をするときに使用する路線価図の見方について解説します。
財産の価格は「時価」によることと定められています。
土地の時価は一般的に、「路線価」もしくは「倍率」によって計算します。
時価の計算をすることを「評価する」といいます
路線価地域か倍率地域か
都市部とのどかな田舎
路線価と倍率のどちらで計算するかは、地域ごとにすべて決められています。
都市部 ≒ 市街化区域 ≒ 路線価方式
のどかな田舎 ≒ 市街化調整区域 ≒ 倍率方式
と捉えることができます(もちろん例外はあります)。
市街化調整区域の「調整」というのは「抑制」という意味で、開発を抑制して田んぼや野山を残しましょうという意図があります。
こちらに詳しく書いています
また、倍率表の見方についてはこちらをご覧下さい。
路線価図に表示あり(倍率表も表示あり)
目的の土地が路線価か倍率か、すぐわからなくても大丈夫です。路線価図、倍率表双方ともに親切に書いてくれています。
WEBページでの探し方
WEB上ですべての路線価図を見ることができます。
まず①で調べたい年分を選び、
②で都道府県を選びます。
左の「接続図」で上下左右のページに移動すれば任意のページへたどりつけます。
町名を選ぶページの上の方にある「この市町村の索引ページへ」を選びます。
路線価図の見方
まずは道路の数字
丸で囲んだ道路は170です。
単位は1,000円で、1㎡あたりの価額です。
170であれば1㎡ あたり17万円ということになります。
約60坪の土地なら、60坪≒約200㎡として
170,000×200=34,000,000円(3千4百万円)と計算されます。
(各種補正は省略します )
マルや四角の意味
この図では、正円か、何も囲みがないか、の二種類の記載があります、
これは「その地域が、おもにどういった用途で使われているか」を示しています。
このように、ビル街地区、高度商業地区などに分類されています。
何のために地区を分けている?
地区を分ける理由のひとつは「地区によって利用に最適な間口距離や奥行き距離などが異なる」ことがあげられます。
土地の評価に当たっては、土地の形によっていろいろな補正をすることになっています。
これは土地の奥行きによる補正率を定めた表です。
これは「住宅の敷地は奥行き10m〜24mが標準的で使い勝手がよい」という意味です。
奥行きがそれより長かったり短かったりするということは、住宅としては使いにくいということになり、それをふまえて少し割引してくれることになっています。
このように、用途によって使い勝手のよい形状が異なるなどの理由で地区区分が設けられています。
路線価図にはアルファベットを付すことで 地区区分が一目でわかるようになっています。
まずトップページの「税について調べる」から
「法令解釈通達」を選びます。
地区区分の見方
それぞれ、正円は「普通商業・併用住宅地区」、マークなしは「普通住宅地区」とわかります。
色がないところ・・・道路を中心として全域に適用
ピンク色で囲んだ部分・・・なにもマークがありませんから「全域」が普通住宅地区です。
緑色で囲んだ△の部分・・・マークが正円で、かつ色無しなっていますから全域が普通商業・併用住宅地区です。
緑色の極太の線の部分・・・マークが正円で、かつ黒塗りですから道路沿いのみが普通商業・併用住宅地区です。
緑色の極太の線の部分・・・マークが正円で、かつ黒塗りですから道路沿いのみが普通商業・併用住宅地区です。
下のピンクで囲んだ部分・・・正円の下側の斜線は「適用なし」を意味します。この区域を囲んでいるほかの道路にはマークがありません。よって全域に普通住宅地区が適用されます。
借地権について
数字の横のアルファベットの意味
借地権とは何?
地主がいったん土地を貸すと、当然自分では自由に使えなくなります。
この「自由に使えなくなる」部分は、「借りた方が得た権利」であると考えます。
その一定の割合が先ほどの表です。
借地権割合Aの地域なら借地権は90%、
逆に地主の方は底地分の10%が財産の評価額となります。
地主側の価値は70%です。
違いが明確です。
簡単に計算してみよう
実際に路線価図を用いて土地の評価額を簡単に計算してみましょう。
手順は以下の通りです。
路線価を確認
路線価図により、千円単位の路線価を確認する。
路線価×地積でとりあえずの更地価格が計算される。
地区を確認
「普通住宅地区」などの地区を確認し、各種補正率を計算する。
大まかに試算するだけなら補正は省いてもOKです。
アルファベットを確認
借地権を認めるような土地であれば借地権割合を控除する。
細かい補正やセットバックなど、ほかにも考慮すべきことはありますが、大まかな数字はここまでで出すことができます。