相続が起こった後のタイムスケジュール

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相続が「開始」したら

じつは相続は「起こる」とか「発生する」ではなく「開始する」と言うんですね。法律の言いまわしです。

「相続は、死亡によって開始する」
民法882条にはこう書かれています。

ほかにも、兄弟姉妹は「けいていしまい」、遺言は「いごん」、競売は「けいばい」
法律用語なんでしょうけど、なぜかいちいち小難しいです。

その相続が「開始」したらどういうスケジュールで動かなければならないか、について大まかにまとめてみます。

3カ月以内にやること

まず3カ月以内に期限が来るものがあります。

相続を「放棄」する場合と「限定承認」する場合です。
これらをしなければフツーに相続したことになり、そのことを「単純承認」といいます。
この3つの中からどうするのかをまず決めます。

「放棄」や「限定承認」をするのはレアケースで、たとえば借金が沢山ある場合に検討の余地があります。詳細はまた別の機会に記事にします。

これらをする場合は、家庭裁判所に申述をしなければなりません。もしその前に何らかの形で相続財産を処分したりすると「単純承認」したことになってしまいます。

また「限定承認」すると税法上いろいろやっかいなことがありますので、必ず税理士等の専門家の意見を聞いて下さい。こちらもいずれ記事にします。

4カ月以内にやること

亡くなったひと(被相続人)が何らかの事業をやっていて、毎年確定申告をしていたとします。
普通、所得税の確定申告は2月16日から3月15日の間に行いますね(消費税は3月31日まで)。

亡くなったひとの場合はこの期限が変わり、4カ月以内に申告書を提出しなければなりません(準確定申告といいます)。

もしその事業を引き継ぐ人がいるなら「青色申告の承認申請書」など、所得税にまつわる届出書や申請書を出す必要があります。

10カ月以内にやること

相続税の納付と申告は10カ月以内にしなければなりません。例えば11月22日に相続が開始したなら申告期限は翌年の9月22日となります。

それまでの間に遺産分割協議を行い、協議が整えばそれにしたがって申告します。ただし協議が整わなくても「未分割」という形で申告だけはしておく必要があります。その後分割が整い次第、申告をやり直すことも可能です。

ただし、未分割の場合には「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の特例」など、税負担が軽くなる特例は使えませんので注意が必要です。3年以内に分割すれば改めて特例を受けられますが、その場合でもしかるべき書類を出しておく必要があります。

分割が整い次第、財産の名義を変更します(特に期限はありません)。

まとめ

相続が「開始」したら3カ月、4カ月、10カ月という期限を頭に入れておきましょう。

それ以外にも四十九日、初盆などのスケジュールもあり、慌ただしく過ぎてしまいます。銀行、市役所などの手続き、取得すべき書類も多く、期限を意識しながら行動する必要があります。